スポーツ外傷・障害 【股関節・鼠径部周辺の痛み(グロインペイン)5:アプローチ例】

【股関節・鼠径部周辺の痛み(グロインペイン)5:アプローチ例】

 最終回の今回は、実際の症例をもとにどのようなアプローチを行ったかを紹介します。

 

<高校野球部 投手 右投げ右打ち>
主訴:

 投球時、ステップ脚を踏み込んだところから、フォロースルーにかけてステップ脚に乗り込む時に左股関節に痛みがある。
 2ヵ月くらい前から違和感はあったがプレーは継続していた。3週間前から少しずつ痛みを感じるようになり、1週間くらい前から強い痛みを感じるようになり投球に支障あり。走るときにも痛みを感じるようになった。
 股関節の明らかな受傷機転はなし。

評価:

 胸郭・骨盤・股関節の可動性低下、体幹安定性低下、片脚スクワット・ランジ安定性低下、整形外科を受診しMRI検査にて恥骨部に軽度HS+

*評価結果の詳細に関しては省略している部分があります

既往歴:

 3ヶ月前に右足関節捻挫(評価時に痛みはないが可動域低下+)、左足関節捻挫を中学生の頃から何度か繰り返している

<推察>

 捻挫の影響から、片脚でのバランスやステップ脚を踏み込んだ際の下半身の安定性が低下し、また、体幹安定性も低下しているために、姿勢保持のために必要以上に下肢筋(内転筋等)を使うこととなり、結果として股関節へのストレスが高まったのではないか。
 また、骨盤・股関節および胸郭の可動性の低下により、身体全体での投球動作や上半身と下半身の連動性が崩れ、股関節へのストレスが高まったのではないか。
 上記のポイントが、結果的に股関節への負担に繋がって違和感となり、そのままプレー継続していたために痛みとして出現したのではないかと考えられた。

<アプローチ>

 まずは、股関節・骨盤の可動性や胸郭・肩甲帯の可動性を獲得するために、徒手や鍼灸を用いてアプローチ。あわせて、捻挫の影響で硬くなっていた足首を含めた全身のケアも実施した。その間、痛みのあるピッチング・ランニングは一旦中止とした。
 あわせて、股関節への負担がかからないように配慮しながら、体幹の安定性(腹腔内圧)を高めるため、呼吸やコアエクササイズから実施した。
 その後、痛みの改善度合いに応じて強度を上げていき、片脚立位や片脚スクワット時の安定性のトレーニングなども段階的に実施。この時、下肢筋のみに頼らず、体幹・殿筋をしっかりと使うことを含め、無理な力がかからずに安定できるポジションの獲得も目指した。
 その後、上半身と下半身の連動した動きを獲得するためのクロスモーションエクササイズを行い、徐々にランニングやキャッチボール等から再開。ピッチング時の体重移動動作やフォロースルーまでの動作での上半身と下半身を連動させた動作の獲得を目指したエクササイズも実施した。
 継続して治療・リハビリを行った後は、投球時の痛みもなくプレーに復帰した。その後は、練習が続いてくると、疲労が溜まったような違和感を多少感じることも時々あったが、痛みを生じて離脱することなくプレーを継続できた。

 各トレーニングの段階上げの際には、その都度整形外科にて医師の診断を受けながら強度を上げていった。

 

 上記の症例のように、痛みを生じている患部の治療をするだけでなく、全身の状態をみて、患部外の治療や機能不全改善のアプローチ、トレーニングを行っていくことが重要となります。
 これは、今回の例の野球に限らず、サッカーやラグビーなどあらゆる競技で共通して言えることだと思います。

 ただし、これは本症例に挙げた選手におけるアプローチであり、同じような症状であっても他の選手にも全く同じアプローチして改善するとは限りません。あくまでも参考程度にお考え下さい。
 (*なお、写真の人物と本症例の選手とは関係ありません。)

 

 これまで、前職場であるJIN整形外科スポーツクリニック(埼玉県さいたま市)の仁賀先生やリハビリスタッフ、畑中仁堂先生(埼玉県川口市:じんどう整骨院アスリート)などから学ばせていただいたことをもとに、5回に分けてgroin pain(グロインペイン)についてお伝えさせていただきました。

 私は、これまでの経験を活かして、スポーツ障害に悩んでいる地元熊本の人のサポートをしていきたいという思いから熊本へ帰ってきて開業しました。
 野球に限らず、股関節・鼠径部の痛みによってなかなか復帰ができない・パフォーマンスが上げられないなどの悩みを抱えている方、ぜひ一度ご相談ください。
 その他のケガ・痛みの悩みでも構いません。しっかりとサポートさせていただきます。
 もちろん、スポーツをしていない一般の方へも対応しています。お気軽にご相談ください。

たけスポーツ鍼灸マッサージ院        
熊本市東区御領1-8-38 長嶺ビル102号   
TEL:096-221-4796    
Mail:takehara@takespo-shinkyuu.com

Related Post

【股関節・鼠径部周辺の痛み(グロインペイン)1】【股関節・鼠径部周辺の痛み(グロインペイン)1】

 スポーツ選手にみられる股関節・鼠径部周辺の痛み(グロインペイン)は、痛みが長く続いたり、一旦練習を休んで痛みが改善しても練習再開してしばらくするとまた痛みが出てきたりするなど、パフォーマンスへの影響も少なくありません。 […]